
所信
【未来を描く】
鼻を覆いたくなるような悪臭、目を背けたくなるようなゴミの山…
2023年6月、私はフィリピンのマニラにあるスラム街、トンド地区を訪れました。そこに住み暮らす人々は、ゴミの山を漁り、売れそうなものを仕分けしてジャンクショップに売って生計を立てています。本来ならば学校に行って授業がある平日の昼間の時間帯にもかかわらず、そこには多くの子供たちの姿がありました。
そんな子供たちと接していると、違和感を覚えます。
私にはとても過酷な環境に見えてしまうゴミに囲まれた生活の中でも、笑顔だったのです。
「私は先生になりたい」「僕はお医者さんになりたい」「学校で勉強して家族を助けられるような仕事に就きたい」と目を輝かせてそう語る子供たちの姿に、私は強い衝撃を受けました。不自由な暮らしの中にあっても、彼らは未来を信じている。
決して恵まれたとは言えない環境の中で、彼らは確かに“未来を描く力”を持って生きているのです。
“未来を描く力”は誰かに与えられるものではなく、自らが理想を信じそれに向かって挑戦し続ける力です。
まずは私たち自身が、このまちの未来を描き、一歩を踏み出そう。
そして、青年としての英知と勇気と情熱をもって、私たちの手で創っていこう。
このまちの子供たちが、未来を描ける社会を。
【会津喜多方青年会議所がこのまちで果たす役割】
私たちのまち喜多方は、今、転換期を迎えています。
1955年に8万人を超えていた人口は、2025年には約4.1万人。2050年には3万人を下回ると見込まれています。
若者の多くは高校卒業と同時に進学や就職で転出し、戻る人は少なく、人口流出と高齢化が進んでいます。
「地方にはなにもない」そう言って地元を離れる若者が、年々増えているのではないでしょうか。
かつての私自身もそう口にして喜多方を離れ、約10年間を都市部で過ごし、日々刺激のある生活の中で「喜多方に戻る理由なんてあるだろうか」と心のどこかで思っていました。
たまたま私には家業があり喜多方に戻るきっかけになりましたが、もしそれがなければ、今も都市部で働き「あんな田舎に仕事はないし、戻らないよ」と言っていたかもしれません。
しかし、このまちに戻ってきたことで、私は多くの魅力に気づくことができました。
四季折々の豊かな自然、文化財や蔵など歴史を感じられる建造物、全国的に有名なラーメンやそば、日本酒、それぞれの地域で開催される祭りなどのイベント…数えきれない魅力が、喜多方にはあふれています。
このまちに可能性がないわけではありません。
今必要なのは、地域にまだ眠っている魅力を再発見し、それを言葉や形にし、外に伝えていくことです。
そしてその役割を担えるのが、私たち会津喜多方青年会議所です。
私たちは、JCIという世界110以上の国と地域とつながるネットワークの一員です。
先輩方が50年以上積み上げてきた地域密着の歴史を礎に、外の視点を取り入れ、まちを客観的に見つめ直すことができます。
私たち会津喜多方青年会議所は、地域と世界をつなぐ架け橋として、今こそそのネットワークが持つ力を発揮し、まちの人にとっても、訪れる人にとっても、喜多方の魅力を再発見できる場をつくり、子供たちや若い世代が「このまちで生きたい」と思えるような誇りと希望のある未来を描くことを目指します。
【国際の機会での魅力発信】
地域の魅力は、ただ存在するだけでは伝わりません。
それに気づき、意味を与え、誰かに届けることで、初めて“価値”として認識されます。
私たち青年会議所は日本国内にとどまらず、世界へ向けて地域の文化や想いを発信し、交流を育むことができます。
JCI Visionには“the foremost global network”(国際的ネットワークを先導する)の文言があり、青年会議所が目指す、国際的ネットワークを先導する「唯一無二」の存在になるという組織像を表しています。
また、会津喜多方青年会議所の定款には、本会の目的として、“国際的理解を深め、世界の繁栄と平和に寄与する”と記載があります。
つまり、青年会議所が持つ国際の機会は会員である以上必然の機会なのです。
その機会を通じて、志を同じくする世界中のメンバーと心からつながることができるのです。
こうした国際の機会は、外からの視点を得て、私たち自身が地元の良さを見つめ直すきっかけになり、そしてそれをさらに磨き上げ発信する、といった好循環を生み出すものであります。
また、喜多方のような地方のまちが、グローバルな舞台で評価されるという経験は、次の世代を担う子供たちにとって“このまちにいる意味”を感じられる誇りにもつながるはずです。
会津喜多方青年会議所だからこそできるこの機会を通じて、喜多方の未来を担うための確かな視点を育み、行動していきましょう。
【2027年度福島ブロック大会主管に向けて】
青年会議所の根幹には、「修練」「奉仕」「友情」の三信条があります。
この3つの言葉は、どれか1つだけでは成り立たず、私たちの運動や活動のすべてを支える礎です。
2024年度に迎えた大きな節目である会津喜多方青年会議所創立50周年。
初めは各々が準備を進めており組織の統制がとれていないように見え、不安しかありませんでしたが、本番が近づくにつれ、一人ひとりが責任を持ち組織として団結していき、無事に終えることができました。
この経験は、三信条の大切さと、仲間と共に目標を成し遂げる力を実感できた貴重な学びとなりました。
私たち会津喜多方青年会議所は、喜多方のことをより多くの人に知ってもらいたい、そして何より新しい挑戦をしたいという思いから、2027年度福島ブロック大会の主管という、大きな責任と機会をいただきました。
この大会は、福島ブロック協議会内のメンバー同士の交流促進や外に向けてまちの魅力を発信する場であると同時に、自分たちの組織を鍛え、強く結び直す機会でもあります。
大会は、誰かが一人でつくるものではありません。
メンバー一人ひとりが役割を持ち、責任を引き受け、仲間と支え合いながらつくり上げるものです。
そこには、まさに「修練」の機会があり、「奉仕」の心があり、「友情」の絆があります。
その過程で生まれる信頼や、成功と失敗の経験は、きっとこれからの会津喜多方青年会議所の財産になるはずです。
だからこそ、私はこの2027年度福島ブロック大会を、1つの事業としてだけでなく、“組織をつくるプロセス”そのものとして大切にしたいと考えています。
2027年度に向けた準備が本格化する今年度は、単なる準備の年ではなく、仲間との絆を深め、組織として1つになるための大切な時間にしていきましょう。
大会が終わったあとに、「この仲間とだから、達成できた」そう心から言えるように。
【ワクワクから始まる共感】
私たち会津喜多方青年会議所の活動の原動力は、このまちに楽しさや“ワクワク”を生み出すことにあります。
「また今日もJCか…」「何のために時間やお金を使っているのだろう…」そう思う瞬間はありませんか。私自身もそう思う時があります。
しかし、やらされ感や受け身で例会や事業を行っていて、一体誰が共感するでしょうか。
「面白い」「やってみたい」とこのまちのことを本気で考え、行動していくことが、今の会津喜多方青年会議所に求められる姿勢なのではないでしょうか。
そんな熱意ある姿勢こそが、周りの人たちの心を動かし、共感や協力の輪を広げていくのだと思います。
どうせやるなら楽しくやった方がいい。楽しいからこそ続けられる。“ワクワク”するからこそ挑戦できる。
私たちが率先して“ワクワク”しながら活動や運動を行い、地域に共感とつながりを生み出していきましょう。
その姿を見て、「自分も一緒に挑戦したい」と思える仲間を増やし喜多方の未来を共に描いていきましょう。
【結びに―未来への一歩】
あの時トンド地区で出会った子供たちは、貧しさの中にあっても、自分の未来を語ることをやめていませんでした。
その笑顔と希望に触れ、私は強く感じました。未来を描く力は、自ら信じ、挑戦し続けることで生まれるのだと。
私たちもまた、このまちでその力を取り戻さなければならない。
誰かに与えられるのを待つのではなく、自らの手で未来を描き、一歩を踏み出していこう。
それぞれの一歩が、やがてこのまちの希望となり、次の世代が夢を語れる場所をつくっていくのだと私は信じています。
仲間と共に歩み、挑戦し続けることで、私たちはきっと新しい未来を描ける。
このまちで生きることが、誰かの誇りになれるような社会を目指して。
2026年度スローガン
未来を描き、世界へ踏み出そう
2026年度基本方針
- 地域の未来を担う次世代の育成と連携の推進
- グローカルの視点を取り入れた地域の魅力発信
- 2027年度福島ブロック大会主管準備と組織力の向上
